2014/02/01

日本とアジアの真ん中で実現するビジネスモデル

ベンチャーは地方でチャンスをつかめ!
〜沖縄で飛躍的に成功する40の法則



 沖縄を中心に置いた地図を見てみましょう。岐阜女子大学HPより)

 沖縄から見ると、東京よりマニラの方が近いとか、福岡より台北の方が近いといった事実に正直驚きます。飛行機のフライトでいえば、沖縄は4〜5時間で、日本の都市すべてと、ソウル、北京、上海、香港、台湾、ハノイ、バンコクとを接続可能な<中心地>ともいえます。

 それがどうした? とお思いでしょうが、運輸業界の方はクールです。日本の各都市で、その日、生産した(東南)アジア向け工業製品や生鮮品を最終便まで待って、深夜に沖縄に運び込む。その日本中から集まった品々を、沖縄の倉庫で、アジア各都市向けに振り分けると同時に、同様にアジア各都市から最終便で飛来した荷物を日本各都市向けに振り分け、早朝、それぞれの貨物はまた飛んできた都市に戻るという配送システムです。このシステムにより、夕方、大田区の町工場で製造された部品は、翌朝、バンコクの空港に着き、午前中には目的の工場に納品されるということが実現しています。

 2009年、ANAが沖縄が日本とアジアを結ぶ中心地であることに着目し、この新しい事業を始めました。ほどなくして、このプロジェクトに次々とパートナーが集まってきます。沖縄ヤマト運輸が通関免許を取得し、このシステムを活用し、2012年からアジア圏における配送サービスの高速化を図っています。

 また新たに沖縄に倉庫を設けることにより、精密部品や製品の在庫基地としてサービスを広げたり、リペアセンターを沖縄に集約し、主にアジア各地で修理品を一括修理することにより、各国ごとにエンジニアの教育、修理センターの新規構築をすることなくメーカーにとっては素早く事業展開を行えるような新しいインフラサービスを整えようとしています。

 さらに翌年、楽天はこのインフラを利用し、「楽天市場」の海外販売サービス「Rakuten Global Market」において、これまで難しかった日本の生鮮食品を、香港向けに保冷輸送することで売上拡大を狙っています。

 沖縄ベンチャーもじっとはしていません。沖縄では有名な居酒屋チェーンのえんグループは、このアジアへの高速配送システムを活用し、すでに香港で展開していた自社の居酒屋へより新鮮な沖縄食材を調達したり、マカオの百貨店に沖縄食材を卸す事業をはじめたり事業強化を図っています。

 沖縄ではアジアの振興や、別稿にて述べる沖縄県の産業施策・特区などの設定もあり、こういったダイナミックなパラダイムシフトが往々にして起こりやすくなっています。

 しかも、このANAの沖縄貨物ハブについては沖縄の経済人であれば誰でも知っているモデルなのですが、どういうわけか東京ではあまり知られていません(笑)。こういった変化を真っ先に活用できる機会に恵まれていることは沖縄ベンチャーにとって大きなアドバンテージなのです。


ANA沖縄貨物ハブ&新・航空ネットワーク
http://www.ana.co.jp/cargo/ja/int/okinawa/


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