2014/05/01

プロモータは沖縄県

ベンチャーは地方でチャンスをつかめ!
〜沖縄で飛躍的に成功する40の法則


 沖縄で上場しているのは、20144月現在で、わずか6社。
 上場=従業員の多い大企業、とはいえないものの、千数百人の従業員がいれば、沖縄ではトップクラスの大組織といえます。

  • サンエー(1,132人)
  • 沖縄銀行(1,379人)
  • 琉球銀行(1,356人)
  • 沖縄セルラー電話(243人)
  • 沖縄電力(2,579人)
  • 碧(104人)     ※括弧内は連結の従業員数


 一方、沖縄県庁のいわゆる事務職(一般行政部門)は3,8612013.4.現在。派遣職員等含む)で、間違いなく沖縄最大の組織です。

 私は東京から沖縄に移住してくる前までは、「なにか事業のことで困ったら都に相談してみよう」とか、「都の担当者に協業先を紹介してもらおう」なんてことは一度も頭をよぎりませんでした。もっぱら自分や自社のネットワークの中から問題解決の端緒をたぐり寄せ、自身の力で成長していくやり方が、ごくごく普通であり、そもそも、都の存在を自社のパートナーと見立てる認識は(少なくとも私の場合は)ありませんでした。

 おそらく本項の中心読者層である、成長意欲が高く、若く、独立系のベンチャー経営者、アントレプレナーの方であれば、中小企業庁の助成金の公募要領は読んだことはあるかもしれませんが、自治体が自分の味方、しかもとてつもないパワーを持った仲間であるという認識は、私同様、持っていないと思います。

 『ニッチでもトップにヒト・カネ・情報が集まる』の項でも言及しましたが、コンパクトサイズの沖縄で自社の存在を知らしめることは、メトロポリス東京に比べれば、実力さえあれば、圧倒的に容易です。

 日々、沖縄の産業振興について思慮する優秀な県職員の情報網にあなたの存在が引っかかるのは時間の問題です。東京で沖縄進出状況について講演してくれとか、シンガポールで投資家との交流会を行うので参加しくれとか、次々にオファーが舞い込みます。やがて、うんざりするほど(笑)

 でも、このオファーはとてつもないチャンスです。よく考えてみてください。
 ローカルガバメントが、県外や国外のイベントに一緒に連れてくる企業なのですから、相手方にとっては、沖縄を代表する優良企業、という認識を当然してくれます。
 
まだ世界で名を知らしめていないベンチャー企業にとって、信用・信頼に関する支援ほど助かるものはありません

 またこういったイベントでは、県の部長クラス(3,861人のトップ10人に入るようなレアアイテム)も同席しますので、あなたの講演は、同時に県の部長へのアピールともなります。日頃、分刻みのスケジュールをこなす多忙な部長さんも、この時ばかりはあなたの話を傾聴する他ありませんので、自社の存在を部長さんにロックオンさせる希有な機会となるのです。

 ちょっと内向きなところもありますが、こうやって沖縄産業振興・日本振興について、県の部長や職員とディスカッションをする機会を何度も経て、東京では得がたい信用・信頼のプロモータとして、沖縄県はみなさんの企業を全面的に支援してくれるようになります。

 究極の形態は、御社の目指すべき方向と、沖縄県の産業振興のあり方が同じ方向のベクトルとなり、win-winになっていくことだと思います。

 直近で役立つ補助金も魅力的でしょうが、沖縄ユニーク、かつ、持続的な成長を目指すのであれば、こういった目に見えない沖縄パワーの活用ほど力強いものはありません。


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2014/04/29

東京のライバルも、沖縄ではパートナー

ベンチャーは地方でチャンスをつかめ!
〜沖縄で飛躍的に成功する40の法則


 沖縄で暮らしていると、その歴史からの学びや、小さく流動性の少ないコミュニティで適応していくためには、自然と争いごとを避けるようになってきます。

 下克上の都会で暮らしていた私には、それが、ユルく、ヌルいと感じることもままありますが、やはりそれはそれで、沖縄という環境が生み出す気風なのです。

 過去10年間、コールセンターや、データセンターを生業とする企業が、沖縄県の施策とともに集積していきました。最近では、そういった特定業種にフォーカスした誘致は行ってはいないのですが、SEM(検索連動型広告によるマーケティング)や、スマートフォン向けゲーム開発企業が、沖縄に自然と集まってきています。

 人材や回線も含め、沖縄のIT産業インフラが拡充してきた点や、(実は本質ではないのですが)わかりやすい人件費の安さという面から、ITベンチャーが得意とする新成長領域事業を持つ企業が、沖縄で新拠点を相次いで設立している状況なのです。

 すると、東京ではガチライバルであった企業同士が、狭い沖縄で相まみえるという一触即発の状況になる・・・と、思いきや、そうなりません。

 彼らにとって、沖縄で出会うライバルこそ、実は、まったく同じ悩みと目標を共有できる希有な存在となるのです。

どうすれば、沖縄でマネージメント層の採用ができるのか?
どうすれば、沖縄でエンジニアを育成できるのか?
どうすれば、東京の下請けだけでなく、沖縄ならではの売上を作ることができるのか?

 オフィスは近所、数少ない県内イベントではしょっちゅう顔を合わせ、同じような居酒屋で酒を飲み、沖縄の友人はみな同じというような環境になります。おのずとコミュニケーションは加速し、成長意欲の高い方々ほど、自然と協業の話が生まれてきます。

「この際、両社で一緒にアジア進出にチャレンジしてみませんか? この狭い沖縄、ひいては日本で仕事を取り合っていてもじり貧になっちゃいますしね。」

 東京でのライバルが、沖縄ではパートナーになってしまうミラクル(ここまでは実話)。今後、このパートナーシップが大成功を収めたら、私が新たな章を書き留めますね。


 御社にも沖縄の奇跡が訪れますように


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