2014/04/29

東京のライバルも、沖縄ではパートナー

ベンチャーは地方でチャンスをつかめ!
〜沖縄で飛躍的に成功する40の法則


 沖縄で暮らしていると、その歴史からの学びや、小さく流動性の少ないコミュニティで適応していくためには、自然と争いごとを避けるようになってきます。

 下克上の都会で暮らしていた私には、それが、ユルく、ヌルいと感じることもままありますが、やはりそれはそれで、沖縄という環境が生み出す気風なのです。

 過去10年間、コールセンターや、データセンターを生業とする企業が、沖縄県の施策とともに集積していきました。最近では、そういった特定業種にフォーカスした誘致は行ってはいないのですが、SEM(検索連動型広告によるマーケティング)や、スマートフォン向けゲーム開発企業が、沖縄に自然と集まってきています。

 人材や回線も含め、沖縄のIT産業インフラが拡充してきた点や、(実は本質ではないのですが)わかりやすい人件費の安さという面から、ITベンチャーが得意とする新成長領域事業を持つ企業が、沖縄で新拠点を相次いで設立している状況なのです。

 すると、東京ではガチライバルであった企業同士が、狭い沖縄で相まみえるという一触即発の状況になる・・・と、思いきや、そうなりません。

 彼らにとって、沖縄で出会うライバルこそ、実は、まったく同じ悩みと目標を共有できる希有な存在となるのです。

どうすれば、沖縄でマネージメント層の採用ができるのか?
どうすれば、沖縄でエンジニアを育成できるのか?
どうすれば、東京の下請けだけでなく、沖縄ならではの売上を作ることができるのか?

 オフィスは近所、数少ない県内イベントではしょっちゅう顔を合わせ、同じような居酒屋で酒を飲み、沖縄の友人はみな同じというような環境になります。おのずとコミュニケーションは加速し、成長意欲の高い方々ほど、自然と協業の話が生まれてきます。

「この際、両社で一緒にアジア進出にチャレンジしてみませんか? この狭い沖縄、ひいては日本で仕事を取り合っていてもじり貧になっちゃいますしね。」

 東京でのライバルが、沖縄ではパートナーになってしまうミラクル(ここまでは実話)。今後、このパートナーシップが大成功を収めたら、私が新たな章を書き留めますね。


 御社にも沖縄の奇跡が訪れますように


目次


2014/04/28

アジアとのビジネスプロトコルの親和性

ベンチャーは地方でチャンスをつかめ!
〜沖縄で飛躍的に成功する40の法則



 私のアジアビジネスの大師匠、吉村章さんを沖縄に招き講演をしていただいたことがあります。そのとき、東京での講演ではこれまで感じたことがなかった違和感が吉村さんにはあったそうです。吉村さんは、次のようなスピーチをしてくれました。

食事の場は人間関係作りの絶好の機会、食事の場はビジネスの最前線(非公式折衝の機会)、食事とお酒で人間関係を急接近させてビジネスが始まる。「ビジネスがあるから友人になる」のではなく、「友人になってビジネスを考え出す」のが中国人の流儀。(『中国人とうまくつきあう実践テクニック』吉村章 著より)

 「とにかく飲もう、それからだ。」という吉村さんの決めぜりふに対し、東京では「なるほど!」といった反応。それに対し、沖縄では、「あたり前のことを、なぜわざわざ言いだすのだろう・・・」という、ちょっと困惑したような空気が会場に流れはじめ、吉村さんはちょっと戸惑ったそうです。

 中華圏とのビジネス基盤になるものは、契約書ではなく、双方の信頼こそが絶対的に重視され、前提となるといった趣旨のスピーチなのですが、それもそのはず、沖縄で私は、全く同様の経験をしました。

 沖縄で上場しているIT企業の役員・Sさんが、沖縄に来たばかりの私に、当時こういうアドバイスをしてくれました。

「永井さん、あなたはIT系の人間だから、初対面の相手でもすぐ企画のプレゼンテーションとかしちゃうでしょ? そういうことは沖縄ではダメ。まず一緒に食事をして、お互いがどういう人間か多少なりともわかってから、商談を始めなさい。」

 まさに、沖縄でも「仕事の話? とにかく飲もう、それからだ。」というビジネスプロトコルなのです。21 世紀のIT業界にいる元東京人の私にとってはなんともスローテンポで、時代遅れな感じのするビジネスの進め方なのですが、実際、中華圏の方々との商談にあたっては成功のための精度をあげる最短ルートです。

 沖縄でビジネスをしていると、契約重視型ビジネス展開も、信頼重視型ビジネス展開も両方とも自然に身につけることができ、あら不思議、中華圏の方々とも違和感なくビジネスのスタートラインに立てるというメリットがあります。

 このプロトコルを、知識で知っていることと、身体に染みついていることとは全く別なので、まずは沖縄で飲みましょう(笑)。

 ちなみに沖縄でのビジネスプロトコルを指南してくれたSさんは、その後どういうわけか、無条件で永井の宣伝(?)をおこなっていただき、私が沖縄の方と名刺交換のたびに、「あー、あなたが永井さん。Sさんから聞いているよ。がんばってね」と、誰一人友だちのいない土地でありながら、温かく迎えいれてくださる体験を、沖縄のいたるところでしました。ほんとうにびっくりです。

目次



中華圏ビジネスを成功させるための<吉村3部作
中華圏の方々の交渉だけでなく、雇用やおつきあいのコツも理解できます。


2014/04/08

便数を超えた圧倒的体感メリット

ベンチャーは地方でチャンスをつかめ!
〜沖縄で飛躍的に成功する40の法則



  まず、この地図を見てください。
岐阜女子大学HPより)

 沖縄が圧倒的にアジアに近いことが一目瞭然です。沖縄から鹿児島へ行くより、台北に行く方が近いですし、直線距離なら、東京よりもマニラのほうが近いということに改めて驚きます。


 20144月現在、沖縄からアジアへの直行便として、台北、上海、香港、ソウルが毎日運航、台中、釜山、北京が週2〜3便あります。那覇空港国際線フライトスケジュール Peach便は除く

 就航都市や便数は増加傾向にあり、関空と那覇に拠点を置くピーチ・アビエーションが2013年9月から台北への新規就航を始め、片道10,000円弱の運賃を打ち出していることから、既存のチャイナエアライン、トランスアジア航空にも値下げ圧力がかかり、ますます交流が活発になる都市になりそうです。なんといっても80分で那覇から台北に到着するというのは大きな魅力です。ただ、運良くビジネスクラスに無料アップグレードされても、ワインは1杯しかのめません。おかわりをするころには、着陸体制に入ってしまうので・・・(泣)

 私は沖縄に住むようになってから、仕事やプライベートでアジア各都市に月1ペースで訪問するようになりました。2時間20分かけて東京へ行くのであれば、同じ所用時間で香港、あるいは半分の時間で台北へ行く方が魅力的だと思いませんか?

 沖縄で企業経営をしていると、いやがおうでもアジアが視野に入ってきます。沖縄に進出してくる企業さんで多いのが、まず沖縄での人件費の安さに着目されるのですが、そのメリットだけではなかなか継続的に沖縄で事業展開をするのは難しいのが実態です。なぜならシンプルに人件費の安さに着目すれば、東南アジアに進出する方が圧倒的なメリットがありますしね。したがって、本稿では沖縄の人件費の安さという事実はありますが、法則化はしていません。

 沖縄にはスマートフォン向けのゲーム開発会社さんがこのところ自然と集まってきています。彼らは当初、たしかに沖縄の人件費の安さに着目し、沖縄進出を果たしてきました。しかし、成長志向の強い経営者にとっては、人件費削減という経営課題はクリアしてしまえば、守りの要素以外のなにものでもなく、次のステージとして、沖縄をベースに新規事業や、新しい取り組みをしたくなってきます。で、眼に入るのがアジアマーケットです。

 「沖縄に来るまで、アジアなんてまったく考えたこともありませんでした」と語る、海外渡航歴ゼロだった若い経営者が、沖縄進出後1年で、上海と香港に拠点をもち、事業領域も広げています。沖縄では<内需を狙わない感覚が次世代のビジネスモデルを生む>法則ともあいまって、攻めたがりの事業者であれば確実にアジアへのスイッチが入ります。

 メトロポリス東京では、沖縄の何十倍ものフライトがアジア各地へ飛んでいると思います。ひょっとすると、多数のエアラインが同じ都市を就航しているので、運賃も沖縄便とそうそう変わらない価格かもしれません。しかし、沖縄には海外渡航に際しての圧倒的なカジュアリティがあります。那覇市内から空港まで、モノレールで15分。しかも空港は空いているのでチェックインが驚くほど早い(笑)。

 那覇から接続している海外都市はアジアのみです。このことは、世界中に繋がっている東京とは異なり、より強いアジア志向を沖縄で生じさせています。ぜひ一度、沖縄からアジア各都市への旅行を経験されてください。羽田や成田発着の海外出張とは全く異なる体験になると思います。この皮膚感覚がわかるのは、博多から釜山へ行く機会が多い、福岡のビジネスマンも同意してくれるのではないかと思います。


目次

2014/04/07

非日常(リゾートライフ)でエネルギーチャージ

ベンチャーは地方でチャンスをつかめ!
〜沖縄で飛躍的に成功する40の法則



 その昔、東京生活者が地方の安さに驚愕するという話はよくありましたが、長らく続いたデフレと二極化により、逆に都心の方にこそ、ぎょっとするようなローコストサービスが存在します。例えば、居酒屋。

 沖縄の安さの源泉は、オーナーが厨房に立ち、他人を雇わずに固定費を徹底的に削減することから生まれる安さに対し、都心では、フランチャイズなどの多店舗展開による仕入れコストや合理化によるコスト削減だったりします。ただ、この競争も度が過ぎると、食品偽装に始まり、やがて食べ物とは呼べないような代物を調理し始めたりして、「ここ日本?」と寂しい気持ちになります。一方、沖縄の競争激化によるダークサイドは、注文した品がなかなか出てこない、ということになります(笑)。

 とまぁ、価格競争とか、ローコストモデルの話になると、こういったつつましい話題になりがちなのですが、沖縄ではちょっとしたリゾートライフが手軽な価格で手に入り、日々の生活に刺激と彩りを与えてくれ、沖縄への移住を決意した人の褒美の一つになっています。

 沖縄観光業界の方にとっては、きわめて悩ましい問題なのですが、札幌や京都などの観光地と異なり、沖縄ではシーズンにより観光客数が大きく変動します。したがって、ローシーズンの冬季には地元割引と称して、上等な有名リゾートホテルにリーズナブルにステイできます。例えば、一人一泊1万円で、3食付きとか。ファミリー向けホテルレベルであれば、2食付きで4,000円というのはザラで、私は夏以外のシーズンで(なんちゃって)リゾートライフを満喫しています。

 また、私は沖縄生活者の中で極めてレアな自動車非所有者なので、レンタカーをよく借りるのですが、ハイシーズンでなければ、外車が13,500円ぐらいで借りることができます。よくお世話になっているのが、BMW Z4Miniやビートルのカブリオレです。沖縄の友人からは、オープンカーが好きなのは、まだ沖縄に溶けこんでいない証拠、といじめられます・・・。

 なお、シーズンを問わず、ホテルランチでエネルギーチャージという方法もよく使います。長めのランチ時間をとって、那覇から30分以内のリゾートホテルでゆっくりランチ。しかも1,500円程度。東京の怪しげな激安居酒屋より豊かな感じがしませんか?


 ベンチャーであれば、メンバー全員で、美しい海を横目にブレストとかいいですよ。ご案内します。めんそーりよ。





PS

昨日(4/6)、私の自宅から自転車で5分のビーチが海開きしました。


目次